マルセイユ石鹸の製造ポイント
マルセイユ石鹸には伝統的な独自の製造方法があります。はじめに8時間続く作業がランパタージュです。これは1400リットルの大鍋で植物性油と苛性ソーダを混ぜ合わせ、少しずつ地中海の塩を入れて蒸気の循環で煮続ける作業で、化学反応によって苛性ソーダが油をペースト状「パット」と精製塩にします。
次はラヴァージュで、大鍋の上から冷たい水をかけて、パットより重い水が不純物と一緒に沈殿していき、パットの中の苛性ソーダの割合も一緒に下げる作業です。
こうしてできるパットが石鹸の元ですが、石鹸職人が素早く長い櫂を掴んで大鍋の上部をこぐようにかき分け、3～4日この新しい石鹸を寝かして、ラヴァージュの作業が完璧であるかを確認します。
そして、更に36時間パットを休めさせます。ミーズはパットを流し込んで固めるための枠のことで、ミーズの中に指定の石鹸の大きさに合わせてそれぞれ仕切を設置して、帯状の紙を被せてあります。
そしてリゴルと呼ばれる樋が置かれて、大鍋の底とミーズが結ばれます。石鹸職人はパットを流して、流れる様子によってパットの状態が完璧であることを確認しますが、これらの手作業による確認がマルセイユ石鹸の品質の作り込みになっています。
この後更に48時間寝かされ、堅くなりますが、これを切り取る作業も熟練工でないとできません。切り分けた後も最低2週間は乾燥のために必要ということで、いかに手間のかかった石鹸であるかがわかるでしょう。